「脳卒中で足首がうまく動かせなくなった」
「歩くとき足が引っかかって転びそうで怖い」
そんな悩みを抱えていませんか?
内反尖足は脳卒中を発症した方に多く見られる症状で、つま先が下を向いてしまい、足が引っかかりやすくなります。
こうした状況で、リハビリで少しでも改善したいと考えている方が多いでしょう。
この記事では、自宅や専門家ともに行うリハビリの内容、日常生活での注意について解説していきます。
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内反尖足はリハビリで進行を防ぐことが大切

内反尖足では、時間の経過とともに足首や足部の関節がこわばりやすくなり、足首が内側に入り、つま先立ちに近い形で固まりやすくなります。
その結果、つま先が引っかかりやすくなったり、足の一部に体重が集中してタコや痛みが出たりと、さらに歩きにくくなります。
リハビリの役割は、今より動きやすさを高めることと同時に、関節の拘縮や変形が進まないよう抑えることです。
ストレッチでふくらはぎや足首の柔軟性を保ち、足指・足底・体幹の筋力を維持することで、変形が固定していくことや、歩くときの負担増加をできるだけ防ぐことが期待できます。
医療機関でのリハビリに加えて、自宅でできるストレッチや筋トレを考えている方も多いと思われますが、その際は自己流で行うのではなく、専門家に指導してもらった内容を行うことが大切です。
内反尖足のリハビリ|自宅でできるストレッチと筋力トレーニング

ここでは、内反尖足に対して自宅で行えるリハビリ方法を3つ紹介します。
ふくらはぎの柔軟性を高めるストレッチ
内反尖足に深く関わる筋肉が、ふくらはぎにある『下腿三頭筋(かたいさんとうきん)』です。
下腿三頭筋が過剰に緊張することで、つま先が下を向いたまま固まりやすくなるため、柔軟性の維持・向上を目指すことが重要になります。
ストレッチの具体的な方法は、以下のとおりです。
- 椅子に座り、片足を伸ばしてかかとを床につける
- タオルもしくはゴムバンドをつま先にかける
- タオルもしくはゴムバンドを自分の方向に引っ張る
- ふくらはぎに張りを感じたら同様に30秒ほど保持する
痛みを我慢してまで強く伸ばす必要はありません。
「少し張るかな」くらいの強さで、息を止めずにゆっくり呼吸しながら行うのがポイントです。
足指や足底を鍛える運動(タオルギャザーなど)
ふくらはぎの負担を和らげるためには、足指や足の裏の筋肉を鍛えることも重要です。
そこでおすすめの運動が『タオルギャザー』です。
具体的な方法は以下のとおりです。
- 椅子に座り、タオルを床に広げる
- 床に広げたタオルの上に裸足で足を置く
- 5本の指でギュッとタオルをつかんで手前に引き寄せる
- 10〜20回程度、1日に2〜3セット行う
最初はうまく指が動かないこともありますが、動かす意識をすることが大切です。
できる範囲で取り組みましょう。
筋のコントロールを目指すかかと上げ運動
かかと上げ運動は、ふくらはぎの筋肉を鍛えるだけでなく、『力を入れる・抜く』をコントロールする練習にもなります。
具体的な方法は以下のとおりです。
- 立った状態で、壁や手すりに手を添えて体を支える
- つま先に体重をのせながら、かかとをゆっくり持ち上げる
- 上げられるところまで上げたら、今度はかかとをゆっくり下ろす
- 10回を目安に、余裕があれば1日2〜3セット行う
ポイントは『ゆっくり下ろす』動きです。
ストンと落とさず、かかとが床につくまで時間をかけて戻すことで、筋肉がしっかり働き、力のコントロールも身につきやすくなります。
実施するときは、必ず安定した台や手すりにつかまり、無理のない範囲で行うようにしましょう。
内反尖足のリハビリ|専門家と進めるアプローチ

内反尖足に対する専門家のリハビリでは、機能訓練・装具療法・物理療法・手術やボツリヌス療法など、状態に応じた複数のアプローチを組み合わせて行われます。
機能訓練
理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職が行う訓練です。
麻痺の程度や歩き方、家での生活の様子などを評価したうえで、その人に合ったメニューが組まれます。
関節可動域の訓練
足首や足の関節が固まってしまうと、内反尖足の変形が戻りにくくなり、歩きにくさも強くなります。
そのため、療法士が足首をゆっくりと曲げ伸ばししたり、ふくらはぎなどのこわばった筋肉を時間をかけて伸ばしたりして、関節が動く範囲を保つ必要があるのです。
関節可動域の訓練によって、足首が少しでもスムーズに動くようになると、かかとをつきやすくなったり、装具を使ったときのフィット感が良くなったりすることが期待できます。
筋力訓練
麻痺した側の足では、筋力が落ちることで、足先が床に引っかかりやすくなったり、踏ん張りにくくなったりします。
そこで、つま先を持ち上げる筋肉などを意識して動かす練習を行い、歩くときに足を前に出しやすくすることを目指すのが、筋力訓練の主な目的です。
自分の力だけでは動かしにくい場合は、専門家が手で補助したり、電気刺激を使って筋肉の動きを助けたりすることもあります。
少しずつでも筋力がついてくると、足の振り出しや着地が安定し、歩きやすさの改善につながります。
日常生活動作の訓練
日常生活で実際に行う動きを通して、安全にできることを増やすことが目的の訓練です。
歩くだけでなく、立ち上がり・椅子への座り直し・階段の上り下り・トイレや洗面など、よく使う動作を繰り返し練習します。
練習の中で、どの位置に足をつくと安定しやすいか、どのタイミングで体重を乗せるとふらつきにくいかなどを、療法士と一緒に確認していきます。
個別の生活スタイル(自宅の段差、手すりの有無、外出頻度など)に合わせてメニューが調整され、自宅でも再現しやすい動きを身につけていくことがポイントです。
装具療法による歩行訓練
装具療法とは、装具と呼ばれる器具を用いて、関節や筋肉の働きを補ったり、変形や痛みを軽減したりしながら、立つ・歩くなどの動作をしやすくする治療法です。
内反尖足で、装具をつけて歩行訓練を行うと、以下のような効果が期待できます。
- 足を引きずらずに、一定のリズムで歩く感覚を繰り返し練習できる
- かかとから足裏全体を使って接地するパターンを体で覚えやすくなる
- 歩ける距離や時間を少しずつ伸ばしていくことができる
その結果、転倒しにくい歩き方や歩幅、歩く速さが安定しやすくなります。
また、装具での歩行訓練を重ねることで、「日常生活で装具がどのくらい必要か」「装具をつければ自宅や屋外でどの程度歩けそうか」を一緒に検討していくことも可能です。
物理療法
物理療法は、電気・超音波・温熱などを使って、筋肉のこわばりや痛みを和らげ、リハビリで体を動かしやすくすることを目的とした治療です。
内反尖足では、主に次のような方法が用いられます。
- 電気刺激:筋肉に弱い電気を流し、こわばりを和らげたり収縮を助けたりする
- 超音波:深い部分の組織に振動を与え、血流を促し筋肉や腱をほぐれやすくする
- 温熱療法:患部を温めて血行を良くし、痛みや緊張感を和らげる
物理療法だけで内反尖足が改善するわけではありませんが、『ストレッチや関節を動かす練習』『歩行訓練』などの前に行うことで、筋肉が動かしやすい状態をつくる助けになります。
場合によっては、物理療法を行いながら他の訓練を行うこともあります。
手術療法
リハビリや装具療法などの保存的な治療を続けても十分な改善が得られない場合や、痛みが強い場合、足首の関節が固まってしまい変形が固定している場合には、手術が検討されます。
ただし、手術を受ければそれで終わりではなく、術後は、足首の動きを保つストレッチや筋力訓練、装具を使った歩行練習を続けて、手術で得られた動かしやすさを維持していくことが大切です。
ボツリヌス療法
ボツリヌス療法は、過度に緊張している筋肉にボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)という薬を注射し、筋肉の緊張を一時的に和らげる治療法です。
注射の効果は、数日〜2週間ほどで現れ始め、一般的に3〜4か月程度持続するとされています。
その後は徐々に効果が薄れていくため、必要に応じて一定の間隔で再度注射を行うことになります。
ボツリヌス療法でも、筋肉の緊張を和らげて動かしやすくしている間に、ストレッチや関節の運動、歩行訓練などのリハビリが必要です。
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内反尖足における日常生活の注意点

内反尖足は何もしなければ転倒リスクが高まり、怪我につながる可能性があるため、次のことに注意しましょう。
転倒しないための環境づくりと意識
内反尖足はつま先が引っかかりやすく、転倒リスクが高い症状です。
特に段差や毛の長いじゅうたんの上、滑りやすい床面は危険です。
以下のような環境整備を検討し、転倒予防を図りましょう。
- 段差や敷居にスロープを設ける
- 廊下や浴室に手すりを取り付ける
- 滑り止めマットをよく使う場所に敷く
- 夜間の転倒を防ぐために照明を明るくする
普段、装具を使用している方は、外しているときに転倒しやすくなることがあります。
また、入浴後はふらつきやすいため注意が必要です。
自宅でもできる範囲でリハビリを維持する
入院中は毎日集中的にリハビリを受けることが多い一方で、退院後や外来・訪問でのリハビリは週1〜2回程度に限られることも少なくありません。
そうした限られた時間だけでは不十分な場合もあるため、自宅でのリハビリを組み合わせていくことが大切です。
リハビリは「少しできた」「昨日より足が動いた」という小さな変化を大切にしながら継続しましょう。
難しいと感じるときは無理をせず、できる範囲から始めることが大切です。
家族や周囲のサポートが得られる場合は、一緒に取り組んでみることで継続のモチベーションになるでしょう。
定期的に専門家とリハビリを行う
自宅でのリハビリが重要だとはいっても、限界があります。
自分では気づきにくい姿勢の変化、足の固まり具合、歩き方のクセなどは、専門家の目で定期的に評価してもらうことが重要です。
内反尖足は時間をかけて少しずつ変化していく症状のため、「現状を維持できているか」「悪化していないか」を定期的に確認してもらうことで、必要に応じて治療を調整することが可能になります。
整形外科を定期的に受診し、状態に応じたリハビリや装具の見直し、痙縮が強くなってきた場合のボツリヌス療法の検討など、医師に相談しながら治療を進めていきましょう。
まとめ
内反尖足は、放置すると関節が固まり、日常生活にさらに支障が出る可能性がある症状です。
一方で、自宅でのストレッチや筋力トレーニングに加え、専門家によるリハビリや装具療法、ボツリヌス療法などを組み合わせていくことで、症状の進行を抑え、生活の質を保つことが期待できます。
内田クリニックは、整形外科専門医・日本リウマチ学会専門医が在籍し、リハビリも提供しています。
また、適応のある患者様を対象に、当院では動作解析を導入しました。
リハビリの各フェーズ(開始前・途中・終了時)で測定を行い、歩行動画をご覧いただくことで、ご自身の状態把握と変化の実感を促し、モチベーション向上に役立てています。
もし、「他の病院でリハビリしているけどなかなか良くならない」「自宅でのリハビリだけではどうにもならない」などと悩んでいるのであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。
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記事監修者

医療法人社団内田クリニック 院長
内田 嘉雄(うちだ よしお)
略歴
- 2005年4月 東京大学医学部附属病院臨床研修医
- 以後、関係病院をローテーションし研修を行う
- 2014年4月 東京都立墨東病院 リウマチ膠原病科勤務
- 2022年10月 医療法人社団内田クリニック院長
資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本リウマチ学会専門医・指導医
- 日本人工関節学会認定医
- 難病指定医
コメント
東京都墨田区にある内田クリニックのホームページをご覧頂きありがとうございます。
当院では整形外科疾患全般に対し、生活指導・内服・注射・リハビリテーションを提供しています。手術療法が検討される場合は、近隣の総合病院と連携し対応しています。
関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患の診断・治療を専門領域としており、高血圧・脂質異常症・高尿酸血症など生活習慣病の治療にも対応しています。
また、高齢化やリウマチ性疾患などで増加している骨粗鬆症に対しても、内服・注射・リハビリにて対応しています。上下肢の装具についても、義肢装具士と連携し作成可能です。
妊娠・出産を検討する若年層から高齢者まで、状況に応じた治療選択肢をご提案し、相談しながら一緒に治療を行っています。
常に知識と技術を更新し、皆様に最善の医療を提供できるよう努めています。


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