関節リウマチと診断されて、「これから先どうなるんだろう」と不安になっていませんか?
かつては『治らない病気』と言われていたリウマチですが、治療法の進歩によって、今では多くの方が症状をしっかり抑えた状態(寛解)を目指せるようになっています。
この記事では、寛解の基本的な知識から、どのくらいの割合で達成できるのか、そして寛解を目指すために何ができるのかを詳しく解説します。
錦糸町でリウマチ治療ができる整形外科をお探しなら
「内田クリニック」
リウマチにおける寛解とは?完治との違い

関節リウマチは自分の免疫が誤って関節を攻撃してしまう病気で、現時点では完治は難しいとされています。
そこで治療の目標となるのが「寛解(かんかい)」という状態です。
症状がほとんどない状態を指す「寛解」
寛解とは、病気がなくなった状態ではなく、「痛みや腫れといった症状がほとんどなくなり、日常生活に支障がない状態」のことです。
血液検査でも炎症反応がほぼ見られず、関節を動かすこともほとんど問題ないという状態が寛解になります。
リウマチの寛解には、大きく4つの種類があります。
- 臨床的寛解:痛みや腫れなどの自覚症状がほぼない状態
- 構造的寛解:レントゲンやMRIで関節の破壊が止まっている状態
- 機能的寛解:着替えや家事など、日常の動作が問題なくこなせる状態
- 完全寛解:上記3つをすべて満たした状態
まず目指すのは臨床的寛解です。
臨床的寛解を維持することで、骨や関節が壊れていかない構造的寛解、そして日常生活を自由に送れる機能的寛解へとつながっていきます。
「完治」ではなく「寛解」を治療目標とする理由
リウマチは免疫の働きに異常が起き、自分の関節を攻撃してしまう病気です。
現在の医学では、リウマチの根本的な原因を取り除く治療法はまだ確立されていません。
そのため「完治=薬がまったく必要ない状態」ではなく、「病気の勢いをコントロールし、症状がない状態を保つ」という意味の寛解が治療の目標となります。
完治ではないと聞くと、最初は落ち込む方もいるでしょう。
しかし、寛解の状態を維持できれば関節の破壊は進まず、痛みなく普通の日常生活を送ることが可能です。
さらに寛解の状態が長く続けば、医師との相談で薬を減らしていける可能性もあります。
リウマチの寛解率

リウマチの寛解率は、この20年で大きく変化しました。
2001年時点で寛解に到達できていた人はわずか8%程度でしたが、治療薬や治療戦略の進歩によって、2021年にはおよそ60%前後まで増加したという報告があります。
現在は、以前よりも多くの方が寛解を目指せる状況になっているのです。
ただし、寛解までの道のりは個人差があります。
症状の強さや進み方、年齢や治療薬との相性などによって、かかる時間や必要な治療は人それぞれです。
自分に合ったペースで寛解を目指していくことが大切です。
リウマチの寛解率が向上した2つの理由

リウマチの寛解率が向上したことには、治療薬の進歩と治療戦略の確立が要因として挙げられます。
治療薬の進歩(生物学的製剤・JAK阻害薬の登場)
寛解率が大きく向上した理由の一つは、治療薬の進歩です。
リウマチ治療の柱となっているのが、抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)です。
日本では1999年に関節リウマチへの適用が認められ、炎症を抑えて病気の進行を遅らせる基本的な薬として現在も広く使われています。
しかし、メトトレキサートだけでは十分に症状が改善しない場合があります。
そこで登場したのが、2003年以降に日本でも使えるようになった『生物学的製剤』です。
生物学的製剤は、炎症を引き起こす特定の物質をターゲットにして、ピンポイントで免疫の異常な働きを抑える薬です。
メトトレキサート単独では症状が改善しにくかった方でも寛解を目指せるケースが増え、リウマチ治療の選択肢が大きく広がりました。
さらに近年では、炎症のシグナル(合図)が細胞の中で伝わるのを途中でブロックする薬『JAK阻害薬』も登場し、治療の選択肢がさらに広がっています。
これらの新しい薬が使えるようになったことが、寛解率の大幅な上昇につながっています。
治療戦略の確立(T2T:目標達成に向けた治療)
もう一つの理由は、治療の考え方が変わったことです。
かつては、痛みを和らげる対症療法が中心でした。
しかし現在は、『T2T(Treat to Target:目標達成に向けた治療)』という考え方が世界標準になっています。
T2Tとは、「まず寛解という明確な目標を決めて、通院のたびに今どれくらい良くなっているかを確かめながら、目標に近づくように治療を調整し続ける」という戦略です。
例えば、3〜6か月ごとに血液検査や関節の状態を確認し、目標に達していなければ薬の種類や量を見直していきます。
ゴールを定め、状態を見ながら治療を調整し続けるという方針が普及したことで、より多くの方が寛解を達成できるようになりました。
リウマチで寛解率を上げるためにできることは?

寛解率が向上しているとはいえ、同じ薬を使っても効果の出方は人によって異なります。
治療は医師に任せる部分が大きいですが、患者さん自身の取り組みも、寛解を目指すうえで無視できない要素です。
早期発見・早期治療が重要
寛解に近づくうえで、特に大切なことが早期の受診と治療開始です。
関節リウマチは、発症から2年以内に関節の破壊が急速に進みやすいことがわかっています。
そのため、早い段階にしっかり治療を始めることが、関節の変形を防ぐうえで重要となります。
「手足の指や手首がこわばる」「朝、起きたときに関節が動かしにくい」「複数の関節が腫れて痛む」といった症状が続く場合は、早めにリウマチ専門医に相談しましょう。
医師の指示に従って薬物療法を続ける
リウマチは、長く付き合っていく必要のある病気です。
症状が落ち着いているときでも、医師の指示に従って治療を続けることが大切になります。
「もう痛くないから、薬は飲まなくてもいいのでは?」と感じることもあるかもしれません。
しかし、痛みや腫れが少ないのは、薬がきちんと効いて炎症を抑えているおかげ、というケースが少なくありません。
治療に使う薬の種類や量は、定期的な診察や血液検査などの結果を見ながら、医師が少しずつ調整していくことができます。
もし「この薬は自分に合っているのかな?」「副作用が心配だな」と感じたときは、自己判断で減らしたりやめたりせずに、必ず一度医師に相談するようにしましょう。
寛解したら薬はやめられる?寛解後の治療と再発リスク

症状が落ち着いてくると、「そろそろ薬をやめられないかな」と考える方は少なくないでしょう。
薬の減量や中止は条件によって検討できる場合もありますが、一方で注意しなければならないことがあります。
医師と相談しながら薬の減量・中止を目指せる
寛解が長く続いている場合、医師との相談のもとで薬を少しずつ減らしていける可能性があります。
ただし、あくまでも医師が判断することで、一人ひとりの状態・薬の種類・発症からの期間などによって異なります。
担当医が検査結果を見ながら総合的に判断するため、希望がある場合はまず医師に相談してみましょう。
自己判断での中断はしない
自己判断での薬の中断は、関節の破壊を再び進めてしまうリスクがあるため避けてください。
日本リウマチ財団の情報によると、寛解状態であっても生物学的製剤を中止した場合、約6〜8割の方で再燃が起きるとされています。
症状が消えている間も、病気の原因となっている免疫の異常はなくなったわけではなく、薬によって抑えられている状態が続いています。
「なんとなく調子がいいから」「面倒だから」「副作用が心配だから」という理由で薬を急にやめてしまうと、症状が再び悪化し、関節の破壊が進んでしまうことがあるため、必ず医師に相談するようにしましょう。
「寛解したのに痛い」場合に考えられる原因
リウマチの数値は落ち着いているはずなのに痛みが続く、という場合があります。
主に以下の2つの原因が考えられます。
- 関節にすでにダメージが残っている
- 関節リウマチ以外の疾患が原因である可能性がある(変形性関節症など)
関節のダメージについては、炎症がおさまっても軟骨や骨の変形が残っていると、動かすたびに痛みを感じることがあります。
また、リウマチではなく、変形性関節症など他の疾患が原因となって痛みが生じている可能性も考えられます。
「寛解になったはずなのに痛みがある」と感じた場合は、早めに医師に相談しましょう。
錦糸町でリウマチ治療ができる整形外科をお探しなら
「内田クリニック」
リウマチの寛解を目指すために日常生活でできること

薬による治療を続けながら、日常生活でのケアも寛解を維持するうえで助けになります。
栄養バランスの取れた食事
青魚(サバ・イワシ・サーモンなど)に含まれるオメガ3脂肪酸は、炎症を和らげる働きが期待されています。
また、緑黄色野菜や果物に含まれる抗酸化物質も、体の炎症を抑える助けになります。
逆に、動物性脂肪の多い食事や塩分の過剰摂取は、体の炎症を促す方向に働く可能性があるとされているため注意が必要です。
食事の内容をガラリと変える必要はありませんが、魚を積極的に食べる、野菜を毎食意識して食べるといった小さな積み重ねが大切です。
また、リウマチの薬を使っている場合、アルコールは薬への負担を高めることがあるため、過度な飲酒は控えるよう心がけましょう。
関節に負担の少ない適度な運動
「痛みがあるのに動いていいの?」と思う方も多いですが、適度な運動は関節の機能を保つうえで大切です。
特に寛解中は、関節を動かすことで筋力や柔軟性を維持し、将来的な関節の機能低下を防げる可能性があります。
ウォーキングや水中歩行、軽いストレッチなど、関節に過度な負担がかかりにくい運動から始めるとよいでしょう。
一方で、炎症が強い時期には関節を酷使することは避けてください。
「今日はどのくらい動いていいか」は、その時々の体の状態によって異なります。
担当医や療法士に相談しながら、自分に合った運動量を見つけていくことが大切です。
禁煙やストレス管理
喫煙はリウマチの発症リスクを高めるだけでなく、症状の悪化や治療薬の効きにも影響することが知られています。
寛解を維持するためにも、禁煙は積極的に取り組みたい生活習慣の一つです。
また、ストレスは免疫の働きを乱す要因の一つとされています。
完全になくすことは難しいですが、睡眠をしっかりとる、趣味の時間を持つ、信頼できる人に話を聞いてもらうなど、自分なりのストレス発散の方法を見つけておくことが寛解を目指す助けになります。
なお、歯周病もリウマチの症状悪化に関係することがわかっているため、定期的な歯科受診を心がけるとよいです。
まとめ
かつて、治らない病気と言われていた関節リウマチは、治療の進歩によって今では約6割が寛解を達成できる時代になりました。
早期受診と継続した治療、そして日常生活での工夫が、寛解に近づくための大切な積み重ねです。
内田クリニックは、日本整形外科学会認定の整形外科専門医と日本リウマチ学会認定のリウマチ専門医が在籍するクリニックです。
関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患の診断・治療からリハビリテーションまで幅広く対応しています。
関節リウマチについて悩みのある方は、ぜひ一度ご相談ください。
錦糸町でリウマチ治療ができる整形外科をお探しなら
「内田クリニック」
記事監修者

医療法人社団内田クリニック 院長
内田 嘉雄(うちだ よしお)
略歴
- 2005年4月 東京大学医学部附属病院臨床研修医
- 以後、関係病院をローテーションし研修を行う
- 2014年4月 東京都立墨東病院 リウマチ膠原病科勤務
- 2022年10月 医療法人社団内田クリニック院長
資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本リウマチ学会専門医・指導医
- 日本人工関節学会認定医
- 難病指定医
コメント
東京都墨田区にある内田クリニックのホームページをご覧頂きありがとうございます。
当院では整形外科疾患全般に対し、生活指導・内服・注射・リハビリテーションを提供しています。手術療法が検討される場合は、近隣の総合病院と連携し対応しています。
関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患の診断・治療を専門領域としており、高血圧・脂質異常症・高尿酸血症など生活習慣病の治療にも対応しています。
また、高齢化やリウマチ性疾患などで増加している骨粗鬆症に対しても、内服・注射・リハビリにて対応しています。上下肢の装具についても、義肢装具士と連携し作成可能です。
妊娠・出産を検討する若年層から高齢者まで、状況に応じた治療選択肢をご提案し、相談しながら一緒に治療を行っています。
常に知識と技術を更新し、皆様に最善の医療を提供できるよう努めています。


-620x360.png)



